下痢
下痢とは?
下痢とは、水分の多い便が頻回に出る状態を指します。
1日に3回以上の軟便・水様便がみられる場合が一般的に「下痢」とされますが、急に始まる下痢(急性下痢)と、数週間以上続く慢性的な下痢(慢性下痢)とでは、原因や対応が異なります。
多くは感染症や食事の影響による一過性のもので自然に回復しますが、下痢が長引く場合や、血便・発熱・体重減少などを伴う場合は、消化器疾患や全身性疾患の可能性もあり、注意が必要です。
よくある原因疾患
感染性腸炎(ウイルス性・細菌性)
ウイルス性腸炎(ノロウイルス、ロタウイルスなど)
冬季に多く、嘔吐・発熱・腹痛・水様性下痢を伴います。
家庭内や施設内で集団感染することもあります。
細菌性腸炎(サルモネラ、カンピロバクター、病原性大腸菌など)
食中毒として起こることが多く、発熱・腹痛・血便を伴うことがあります。
重症化することもあるため注意が必要です。
薬剤性下痢
- 抗生物質、制酸薬、降圧薬、糖尿病薬など、薬の副作用で腸内環境が乱れ、下痢を起こすことがあります。
- 特に抗生物質使用後の**偽膜性腸炎(クロストリジウム・ディフィシル感染)**は高齢者に重症化する危険があります。
過敏性腸症候群(IBS)
ストレスや自律神経の乱れにより、下痢や便秘、腹痛が交互に出現する慢性疾患です。
命に関わる病気ではありませんが、生活の質に大きな影響を与えます。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
血便・腹痛・体重減少・発熱などを伴う慢性疾患で、若年~中年層に多く、日本でも増加傾向にあります。
専門的な治療と長期管理が必要です。
吸収不良症候群(乳糖不耐症、セリアック病など)
食物の消化・吸収がうまくいかず、食後の腹痛・下痢・ガスが多いといった症状がみられます。
内分泌・代謝性疾患
- 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)では、腸の運動が過剰になり、頻便や下痢、体重減少、動悸などを伴います。
- 糖尿病性神経障害でも自律神経の影響で下痢が起こることがあります。
診断の進め方
下痢の診断では、発症時期と経過(急性か慢性か)、便の性状(水様、血液混じり、粘液)、腹痛、発熱、嘔吐、体重変化、食事内容、旅行歴、動物接触歴、内服薬、既往歴(糖尿病、甲状腺疾患、炎症性腸疾患など)を確認します。
身体診察では腹部の圧痛、腸音、脱水所見、体重・栄養状態、バイタルサイン(発熱、血圧、脈拍)を評価します。
当院では便培養・便性状検査、血液検査(白血球、CRP、電解質、腎・肝機能、甲状腺ホルモン、HbA1c)、尿検査、腹部エコー(腸管、腫瘤、リンパ節、胆のう・膵臓)、腹部CT(腸炎、腸閉塞、虫垂炎、腫瘍)、甲状腺エコー・ホルモン評価、必要に応じ呼吸機能検査・心電図を行います。
一方、内視鏡検査やMRIなどが必要な場合は、地域の基幹病院へ紹介します。
以下のような場合は、重度の感染症、炎症性腸疾患、大腸がんなど命に関わる疾患の可能性があり、ただちに地域の基幹病院への受診することをお勧めします。
- 血便が出る、または便が黒くタール状になっている
- 発熱や嘔吐、激しい腹痛を伴う
- 水分が取れず、ぐったりしている、尿が出ない
- 下痢が1週間以上続く
- 意識障害、けいれん、脱水症状が強い
下痢は一過性の軽い症状で済むこともありますが、感染症、内分泌疾患、炎症性疾患、腫瘍性病変など多様な原因が隠れている可能性もあるため、安易に放置しないことが大切です。
症状が重い場合は直ちに地域の基幹病院へ受診することをお勧めしますが、そこまで重くない場合や、繰り返す・続く下痢にお悩みの方は当院でも診療可能です。
適切な検査と診断のうえで、必要に応じて専門医との連携も行っております。
気になる症状がある方は、是非ご相談ください。
