体重増加
体重増加とは?
「以前より太ってきた」「半年で5kg以上増えた」「食事量は変わらないのに体重が増えている」──このような意図しない体重増加は、生活習慣だけでなく、内分泌異常や心疾患、腎疾患などの病気が隠れていることもあります。
特に急激な体重増加やむくみ、息切れ、疲れやすさなどの症状を伴う場合は注意が必要です。
年齢や性別、既往症などを踏まえ、適切な診断と対策が求められます。
よくある原因疾患・状態
生活習慣の乱れ(過食、運動不足)
最も頻度が高い原因です。
摂取カロリーの過多や運動量の減少により体脂肪が増加します。
特に中年以降は基礎代謝が低下するため、同じ生活でも体重が増えやすくなります。
甲状腺機能低下症(橋本病など)
代謝を促す甲状腺ホルモンが不足すると、エネルギー消費が減り、むくみを伴う体重増加がみられます。
その他、寒がり、便秘、疲れやすさ、皮膚の乾燥などの症状を伴います。
当院では甲状腺疾患の診療を重点的に行っています。
心不全
心臓の機能が低下し、血液がうまく循環しなくなることで、全身にむくみが生じ体重が増加します。
特に急に数kg体重が増えた場合や息切れ、むくみ、倦怠感がある場合は心不全の可能性があります。
腎疾患(慢性腎臓病、ネフローゼ症候群など)
尿による排水機能が低下すると体内に水分がたまり、むくみとともに体重が増加します。
尿の泡立ち、尿量の減少、まぶたや足のむくみがある場合は腎臓の病気を疑います。
肝疾患(肝硬変など)
肝機能が低下するとアルブミンの合成が減り、血管外に水分が漏れて腹水がたまり、体重増加の原因になります。
お腹の張りや黄疸を伴うこともあります。
副腎疾患(クッシング症候群など)
副腎ホルモンの異常により顔・体幹・首回りに脂肪がつきやすくなる体型変化が起こります。
顔が丸くなる(満月様顔貌)、筋力低下、糖尿病や高血圧を伴う場合があります。
薬剤性
糖尿病治療薬、ステロイド、向精神薬(抗うつ薬など)によって体重が増えることがあります。
妊娠・更年期・ホルモン変化
女性ではライフステージに応じたホルモンバランスの変化により体重増加が起こりやすくなります。
生活習慣の見直しと併せてホルモン評価も必要です。
診断の進め方
体重増加の診断では、増加開始時期とペース、食事・運動内容、むくみの有無、女性では月経状況、服薬歴(ステロイド、糖尿病薬、向精神薬など)、随伴症状(動悸、息切れ、寒がり、疲労感、便秘など)を確認します。
身体診察では体脂肪・筋肉量、顔貌、腹囲、下肢のむくみ、甲状腺腫大、心音・呼吸音、腹部の所見を評価します。
当院では血液検査(甲状腺機能、腎・肝機能、血糖、脂質、アルブミン、BNP)、尿検査(タンパク尿、糖尿、電解質)、心電図・心エコー(心不全、不整脈、弁膜症)、腹部エコー・CT(肝腎副腎、腹水)、血圧脈波検査(ABI・CAVI)、必要に応じて骨密度測定を行います。
一方、副腎・下垂体MRI、内視鏡検査、ホルモン負荷試験など精密検査が必要な場合は、専門医療機関や地域の基幹病院へ紹介します。
緊急性の判断と対応
以下のような場合は、心不全、腎不全、副腎腫瘍など命に関わる疾患の可能性があり、ただちに地域の基幹病院への受診することをお勧めします。
- 短期間で急に数kg以上体重が増えた
- 足や顔が著しくむくんでいる
- 息切れ・胸の苦しさ・動悸を伴う
- 尿が極端に減った・泡立つ尿が出る
- 急激なお腹の張りや黄疸がある
体重増加は生活習慣だけでなく、心臓・腎臓・内分泌の異常が背景にあることも少なくありません。
症状が重い場合は直ちに地域の基幹病院へ受診することをお勧めしますが、そこまで重くない場合や、徐々に進行する体重増加については当院でも診療が可能です。
当院では血液検査、エコー、CT、心電図などを活用し、体重増加の背景を丁寧に評価します。
ダイエットで改善しない体重増加や、むくみを伴う増加がある方は、ぜひご相談ください。
