多飲・多尿
多飲・多尿とは?
「最近やたらと喉が渇く」「水やお茶を何リットルも飲む」「昼も夜もトイレが近い」──このような**多飲(たくさん水分を摂る)・多尿(尿の量が多い)**という症状は、日常的にも見られる一方で、糖尿病などの重大な疾患の初期サインであることもあります。
特に生活や睡眠に支障をきたすほどの多飲・多尿がある場合は、できるだけ早く医療機関を受診し、原因を明らかにすることが大切です。
よくある原因疾患
糖尿病
最もよく見られる原因のひとつです。血液中に増えたブドウ糖が尿中に排泄されることで、浸透圧利尿が起こり尿量が増加し、その結果として喉が渇いて多飲となります。
初期は自覚症状が乏しいこともありますが、放置すると神経障害、網膜症、腎症などの合併症を引き起こします。
当院では糖尿病を重点的に診療しています。
高カルシウム血症
副甲状腺機能亢進症やがんの骨転移などによって血中カルシウム濃度が高くなると、腎臓からの尿量が増加し、喉の渇きや倦怠感を伴います。
慢性腎臓病(CKD)
腎機能が低下すると、尿の濃縮力が弱まり、尿が薄く大量に出ることがあります。
夜間頻尿や倦怠感、むくみを伴うこともあります。
心因性多飲症(習慣性多飲)
精神的ストレスや癖によって、意識的または無意識的に大量の水を摂取してしまう状態です。
若年女性に多く、夜間にも多尿が続くのが特徴です。
尿崩症(中枢性・腎性)
抗利尿ホルモンの分泌不足(中枢性)や、腎臓がホルモンに反応しない(腎性)ことによって、極端な多尿と強い口渇が生じます。
1日4~10リットル以上の尿量になることもあり、まれな疾患ですが精密検査が必要です。
利尿剤・カフェイン・アルコールなど
利尿作用のある薬剤や飲料(緑茶、コーヒー、ビールなど)の過剰摂取により、一時的に多尿が出現します。
診断の進め方
多飲・多尿の診断では、開始時期、1日の水分摂取量、排尿回数・量、夜間尿の有無、体重変化、疲労感、食欲変化、糖尿病・腎疾患・精神疾患の既往や服薬歴を確認します。
身体診察では脱水所見(口腔粘膜乾燥、皮膚の張り)、神経症状、甲状腺腫大、血圧や体重の推移を評価します。
当院では血液検査(血糖、HbA1c、電解質、腎機能、必要に応じて尿・血清浸透圧、ホルモン関連項目)、尿検査(糖、蛋白、比重、ケトン体)、腹部エコー(腎構造、膀胱尿量)、血圧脈波検査(ABI・CAVI)で糖尿病や腎疾患、動脈硬化を評価します。
一方、尿崩症の原因評価に必要なMRI、水制限試験・抗利尿ホルモン負荷試験、心因性多飲の精神科的精査は当院では実施できないため、専門医療機関へ紹介します。
緊急性の判断と対応
以下のような場合は、糖尿病性ケトアシドーシス、高カルシウム血症、尿崩症などの命に関わる疾患の可能性があり、ただちに地域の基幹病院への受診することをお勧めします。
- 1日5リットル以上の水を飲み、尿量も非常に多い
- 意識の混濁、けいれん、倦怠感、脱水症状が強い
- 急激な体重減少や強い喉の渇き
- 糖尿病の既往があり、息苦しさや嘔気を伴う
多飲・多尿は一見日常的な症状にも見えますが、糖尿病や尿崩症、内分泌異常、腎疾患などの重大な疾患のサインであることもあります。
症状が重い場合は直ちに地域の基幹病院へ受診することをお勧めしますが、そこまで重くない場合や徐々に進行する症状であれば当院でも診療が可能です。
当院では血液検査・尿検査・腹部エコーなどを組み合わせて原因を丁寧に評価し、必要に応じて専門医療機関への紹介も行っております。
気になる症状がある方は、どうぞご相談ください。
