脱力感・倦怠感
脱力感・倦怠感とは?
「力が入らない」「体が重くて動けない」「何をしてもすぐに疲れてしまう」といった脱力感や倦怠感は、誰にでも起こり得る一般的な症状ですが、背景にさまざまな病気が隠れていることもあります。
一時的な過労や睡眠不足、精神的ストレスによることもありますが、慢性的に続く、あるいは日常生活に支障をきたすほど強い場合は、内科的な病気のサインである可能性があり注意が必要です。
よくある原因疾患
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンが不足すると、代謝が低下し、全身のだるさ、寒がり、むくみ、便秘、体重増加、皮膚の乾燥などが出現します。
当院では甲状腺疾患の診療に力を入れています。
糖尿病
高血糖が続くと、細胞がエネルギーをうまく利用できず、疲れやすさやだるさ、口渇、多尿、体重減少などを引き起こします。
初期には自覚症状が乏しいため、血液検査が重要です。
副腎不全(アジソン病など)
副腎ホルモンが不足すると、強い倦怠感、低血圧、体重減少、食欲低下、吐き気、色素沈着などが現れます。
まれではありますが、見逃すと重篤化する可能性があります。
貧血
酸素を運ぶ赤血球が不足することで、全身が酸素不足となり、疲れやすさや脱力感、動悸、息切れなどが現れます。
鉄欠乏性貧血、腎性貧血、慢性疾患に伴う貧血など、原因はさまざまです。
慢性心不全
心臓のポンプ機能が低下すると、酸素や栄養が全身に十分行き渡らなくなり、**疲労感、息切れ、浮腫(むくみ)**などをきたします。
進行すると安静時にも症状が出るようになります。
慢性腎臓病(CKD)
腎機能が低下すると老廃物が体に蓄積し、全身倦怠感、むくみ、食欲低下、貧血などが出現します。
進行すれば透析が必要になるため、早期診断が重要です。
感染症・炎症性疾患(肺結核、非結核性抗酸菌症など)
長期間の咳、微熱、寝汗、体重減少などに加え、全身のだるさが目立つことがあります。
特に高齢者では非典型的な症状で現れることがあるため注意が必要です。
うつ病・睡眠障害・ストレス
精神的なストレスやうつ状態でも、強い倦怠感や脱力感、意欲低下、睡眠障害、集中力低下などが現れます。
身体疾患との鑑別が必要です。
診断の進め方
脱力感・倦怠感の診断では、症状の出現時期、持続期間、日内変動、食欲・体重変化、睡眠状態、発熱、運動時症状、脱水や薬剤の影響、糖尿病・甲状腺疾患・腎疾患・心疾患の既往や服薬状況を確認します。
身体診察では血圧、脈拍、体温、皮膚や粘膜、浮腫、甲状腺腫大、皮膚色調、呼吸音、心音、腹部所見を評価します。
当院では血液検査(貧血、甲状腺機能、血糖、腎・肝機能、炎症、電解質、BNP)、尿検査(蛋白尿、糖尿、潜血)、胸部レントゲン・CT(肺疾患、心拡大)、心電図・心エコー(不整脈、心不全、弁膜症)、腹部・甲状腺超音波、血圧脈波検査(ABI・CAVI)を実施します。
一方、MRI、胃・大腸内視鏡、精神科的精査が必要な場合は、専門医療機関や地域の基幹病院へ紹介します。
緊急性の判断と対応
以下のような場合は、副腎不全、心不全、感染症、代謝性疾患などの命に関わる疾患の可能性があり、ただちに地域の基幹病院への受診することをお勧めします。
- 急激に全身の力が抜け、起き上がれない
- 強い倦怠感とともに発熱、意識障害、嘔吐を伴う
- 低血圧、頻脈、脱水症状がある
- 体重が急に減ってきている、あるいは食事がとれない状態が続いている
脱力感や倦怠感は、一過性のものから重大な内科疾患まで、さまざまな病気のサインである可能性があります。
症状が重い場合は直ちに地域の基幹病院へ受診することをお勧めしますが、そこまで重くない場合や慢性的に続く場合には当院でも診療が可能です。
当院では、血液検査や画像診断、心エコー、超音波検査などを組み合わせて、原因の特定と適切な対応を行っています。
「疲れがとれない」「力が入らない」と感じる方は、ぜひご相談ください。
