速い脈(頻脈)
速い脈(頻脈)とは?
「脈が速い」とは、安静にしている状態で心拍数(脈拍)が1分間に100回を超える状態を指します。このような状態を医学的には「頻脈(ひんみゃく)」と呼びます。運動時や緊張時、発熱時などには生理的に脈が速くなることがありますが、安静時にも頻脈が続く場合や、動悸・息切れ・めまいなどの症状を伴う場合には、病気が背景にある可能性があります。
よくある原因疾患
不整脈(上室性頻拍、心房細動、心房粗動、心室頻拍など)
心臓の電気信号の異常により、突発的に脈が速くなることがあります。脈が非常に速くなる(150回/分以上)場合や、不規則な脈になる場合もあります。
心房細動は特に高齢者に多く、動悸のほか、脳梗塞のリスクにもつながるため注意が必要です。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで代謝が亢進し、脈拍が速くなります。頻脈のほか、手の震え、体重減少、暑がり、イライラなどの症状を伴います。
発熱・感染症
発熱により代謝が上がり、それに伴って脈が速くなります。肺炎や尿路感染症、ウイルス性腸炎などが原因となることがあります。
貧血
赤血球やヘモグロビンが不足すると全身の酸素運搬能力が低下し、それを補うために心臓が速く拍動するようになります。特に坂道や階段での息切れとともに感じることがあります。
心不全
心臓のポンプ機能が低下すると、代償的に心拍数が上昇することがあります。動悸や息切れ、むくみ、疲れやすさなどを伴う場合は心不全の可能性があります。
精神的要因(ストレス、不安、パニック発作など)
強い不安や緊張、過換気(息を吸いすぎる状態)などによっても脈が速くなります。急激に始まり、呼吸困難や胸の違和感、手足のしびれを伴うことがあります。
薬剤・カフェイン・アルコール
気管支拡張薬(喘息治療薬)、甲状腺ホルモン製剤、一部の抗うつ薬、カフェインの過剰摂取、アルコールなども頻脈の原因となることがあります。
診断の進め方
頻脈(速い脈)の診断では、まず医療面接で発症のタイミング(突然か徐々か)、持続時間、誘因(運動、食事、ストレス)、随伴症状(動悸、胸痛、めまい、失神、息切れ)、既往歴(心疾患、甲状腺疾患、貧血)、服薬歴を伺います。身体診察では脈拍数、不整、心音、血圧、甲状腺腫大などを確認します。
当院では心電図で不整脈や心疾患を評価し、24時間ホルター心電図で発作性頻脈を捉えます。心エコーでは弁膜症や心不全を確認し、血液検査で甲状腺機能、貧血、炎症、電解質を調べます。血圧脈波検査(ABI・CAVI)で動脈硬化の有無も評価可能です。一方、心筋シンチグラフィーや電気生理学的検査などの専門的評価が必要な場合は、地域の基幹病院や専門医療機関へご紹介いたします。
緊急性の判断と対応
以下のような場合は、重症不整脈、心筋梗塞、肺血栓塞栓症などの命に関わる疾患の可能性があり、ただちに地域の基幹病院への受診することをお勧めします。
- 脈が非常に速く(150回/分以上)、突然始まり止まらない
- 動悸と同時に胸痛、息切れ、冷汗、めまい、失神がある
- 意識がぼんやりする、倒れる、意識を失う
- 既往に心疾患や不整脈の診断がある
- 症状が短時間で急激に悪化している
当院でも初期診察・検査は迅速に行い、緊急性が高いと判断される場合には、速やかに地域の基幹病院へご紹介いたします。
「脈が速い」という症状は、時に重大な疾患のサインであることがあります。症状が重い場合は直ちに地域の基幹病院へ受診することをお勧めしますが、そこまで重くない場合や繰り返す軽い頻脈については、当院でも診療が可能です。
当院では心電図、ホルター心電図、心エコー、血液検査などを活用し、原因の特定と適切な治療方針の提案を行っています。気になる症状があれば、どうぞご相談ください。
